県議会報告 平成26年2月定例会(第3号)

2014/04/01

ラグーナ蒲郡の事業及びラグーナ蒲郡への幹線道路アクセスについて
 愛知県を代表する複合型マリンリゾート施設であるラグーナ蒲郡につきまして、二つの観点から質問をさせていただきます。
 一つ目は、ラグーナ蒲郡における分譲事業への県の取り組みについてであります。
 このラグーナ蒲郡ができる前の姿は、遠浅で海のきれいな大塚海水浴場として年間数万人が訪れ、にぎわっていました。
 さらに、昭和三十四年に伊勢湾台風が上陸する前までは、海岸堤防もなく、夏だけ限定の季節駅の三河大塚駅からおりてすぐに砂浜が広がり、大変観光客に愛された海水浴場でありました。
 この三河大塚駅は、昭和二十八年七月に開駅し、昨年六十周年を迎えました。これを機に、ラグーナ蒲郡への最寄りの駅として、また、周辺地区のさらなる発展を願っているものであります。
 この埋立構想が浮かび上がったとき、地元の反応は大変複雑な思いでありました。風光明媚な目の前の海がなくなってしまうということと、当時はノリの養殖が盛んで、漁業権を失うことになってしまうからです。
 しかしながら、後背地の地元の発展を夢見て賛同したのが昭和五十年代の後半でした。
 そんな思いの中、質問をさせていただきます。
 ラグーナ蒲郡は、昭和六十年に本県議会で提案された海の軽井沢構想に始まり、愛知県二十一世紀計画や三河港港湾計画に位置づけられました。
 平成三年には、愛知県、蒲郡市、そして、トヨタ自動車を初めとする民間会社九社により、この事業の運営者として第三セクター蒲郡海洋開発株式会社を設立し、その後、公有水面埋め立てに伴う諸手続を経て、平成七年に蒲郡市大塚町の海浜約百二十ヘクタールの埋立工事に着手しております。
 その後、埋立工事竣工を経て、平成十三年四月にラグナマリーナがまずオープンしまして、翌年平成十四年四月には、海を楽しく体験できるテーマパークであるラグナシアが開業し、それに続き、五月には、リゾート気分を満喫しながらショッピングとグルメを楽しめるフェスティバルマーケットも営業を開始しまして、現在では、天然温泉施設ラグーナの湯、本格的タラソテラピー施設でありますタルゴラグーナとともに、宿泊施設ホテルラグーナヒルも備わり、このエリアで多様なスタイルで海を楽しむことができる複合施設として発展してきております。
 資本金は約百四十億円で、県が四十二億円、市が二十八億円で、トヨタが二十五億円を出資しております。
 ことしは、開業から十一年目に当たりますが、開業後の十年間で約三千五百万人以上もの来場者が訪れておりまして、平成二十四年度の来場者数二百八十九万人は、東海三県の主要集客施設の中では、鈴鹿サーキットや名古屋港水族館を大きく引き離し、レジャー施設では、ナガシマリゾート、岐阜県各務原市にある河川環境楽園に次ぐ集客施設として、県内外からたくさんのお客様に来ていただいております。
 本年度は、昨年春から始まりました、ジブリがいっぱい立体造形物展が人気を呼び、来場者数は大幅に増加して、三百二十五万人を超える見込みと聞いており、愛知県一の観光施設であるとともに、蒲郡市の発展にとっても欠かすことができない拠点となっております。
 しかしながら、施設運営を行っております蒲郡海洋開発株式会社の経営につきましては、残念ながら、現在に至るまで順風満帆とはいかない状況であります。
 建設時の埋立造成費の負担が大きく、別荘地としての売却を見込んだ分譲土地の売却のおくれ等が重なり、平成二十四年度決算においては、約七十八億円の債務超過状態であることが報告をされております。また、長期借り入れは二百八十五億円で、短期借り入れを合わせ約三百億円にもなります。
 返済期間が二〇一四年末に迫っており、ことしじゅうに決着をつける必要があると伺っております。
 今年度につきましては、ジブリがいっぱい立体造形物展が当たり、八千万円の営業黒字見込みと、単年度黒字ではありますが、近年の経営は不安定で、今後も魅力ある施設を維持していくのは困難であると思われます。
 このような状況を受け、県、蒲郡市及びトヨタ自動車株式会社の主要株主は、さらなる競争力の強化を狙い、永続的に魅力ある施設として維持発展していくために、運営事業は、この分野において経験豊富で信頼のおける株式会社エイチ・アイ・エス社を新しい運営事業者の候補として、蒲郡海洋開発株式会社と主要株主が連携して具体的な協議を開始するとしたと、先日、大村知事から発表があったところであります。
 大手旅行会社であります同社は、長崎県のハウステンボスの経営再建を手がけており、一九九二年の開園以来赤字続きであった状況から、支援後すぐに営業黒字を計上する奇跡的な再生を果たした実績を持っておりますので、今後の協議を夢と希望を持って見守りたいと思っております。
 あわせまして、隣接します大塚海浜緑地、こちらは、県が平成二十年七月に美しい水辺空間を創出したものでありますが、現在、数万人の規模のコンサートや企業開催イベント会場、昨年には、マテ貝とり大会、海上では、ジェットスキー大会、ノルディックウオーキング、グラウンドゴルフ大会として活用していただいていますが、せっかくの人工海浜五百メートルは海水浴場として認められておらず、まだまだ有効利用されていない気がいたします。
 これを契機にして、海辺の憩いの場として、愛知県を初めとする関係者の皆様の御協力により、さらに利便性が向上し、地元の皆様にも親しまれるよう期待をしたいと思っております。
 さて、他方、ラグーナ蒲郡では、滞在型別荘用地や海洋性リゾートマンションなどの分譲事業も手がけており、施設の運営事業とあわせまして、この地域の観光産業の発展に寄与していく予定でありました。
 しかしながら、残念なことに、分譲事業においては、当初の計画である別荘地等の分譲が予定どおりに進んでおらず、未利用の土地が多く残っており、取り残されておると言わざるを得ない状況にあります。
 リーマンショックや東日本大震災などの外部要因の影響は少なからずあったとはいえ、今後、施設運営事業は新しい事業者によりさらなる発展をしていくことが期待される中、分譲事業でこれ以上のおくれをとることは許されず、その未利用地開発は大きな転換期を迎えていると考えます。
 先日の大村知事の記者会見と同じ日の午後に、地元蒲郡市の稲葉市長は、この分譲事業に対して、ラグーナ蒲郡の未利用地を生かした新たなまちづくり構想案の検討を現在行っていると発表されており、今後の開発への方向性が注目されているところであります。
 分譲地全体約七十三・四ヘクタールのうちの約三分の一の二十四・四ヘクタールが未分譲で未利用のままであります。この未利用地を今後どう生かしていくかがラグーナ蒲郡の存続につながっていくものと思います。
 そこで、今後のラグーナ蒲郡の運命を左右する分譲事業につきまして、私は、県として積極的な関与が必要であると考えますが、今後どのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。
 二つ目は、ラグーナ蒲郡の今後の発展、新たな開発を支える鍵となる道路アクセスについてお伺いをいたします。
 蒲郡市内は、高速道路は通過していないものの、県内外初め、広く他地域との交流、連携を支える広域幹線道路として名豊道路の整備が国によって進められており、地元としても早期全線開通を熱望しているところであります。
 この名豊道路のうち、蒲郡市内に二カ所のインターチェンジが計画されている蒲郡バイパス約十五キロがいわゆるミッシングリンクとなっておりますが、関係各位の御努力により、いよいよ来月三月二十三日に蒲郡バイパスの西部区間、名古屋側の幸田芦谷インターチェンジから蒲郡インターチェンジまでの五・九キロが開通する運びとなりました。大変地元としても喜んでおるところであります。
 また、蒲郡インターチェンジから豊川為当インターチェンジまでの東部区間九・一キロの整備も、昨年十一月に起工式が終わり、既に用地買収や一部工事に取りかかっていただいているなど整備が進められておりますが、さらにスピード感を持って進められることを期待いたします。
 ラグーナ蒲郡へのアクセス強化にとっては、名豊道路の早期完成、すなわち、名古屋から豊橋までの全線開通と、今回の開通により利用できるようになる蒲郡インターチェンジと蒲郡西インターチェンジから出入りする交通を、蒲郡の市街地側で受け持つことになる国道二百四十七号中央バイパスの整備が不可欠であると考えます。
 この中央バイパスは、今回の名豊道路蒲郡バイパス西部区間の開通に合わせて、蒲郡西インターチェンジに近接する区間、六工区六百八十メートルのうち四百メートルが供用と伺っておりますが、ラグーナ蒲郡へのアクセス機能の強化は言うまでもなく、蒲郡市街地へ流入する交通の迂回分散、市街地内の渋滞緩和を図る極めて重要な幹線道路でありますので、全区間の早期完成が必要であります。
 さらに、ラグーナ蒲郡を中心としたこの地域の観光産業のさらなる発展や、ラグーナ蒲郡において今後新たな展開が期待される開発計画にとっては、名豊道路東部区間に計画をされている金野インターチェンジとラグーナ蒲郡の位置する大塚地区をストレートにつなぐことになる都市計画道路大塚金野線の整備も、将来に向けては大変重要な役割を担うことになるのではないかと考えております。
 そこで伺います。
 現在国において進められている名豊道路蒲郡バイパス及び県で進めている国道二百四十七号中央バイパスの進捗状況及び都市計画道路大塚金野線の整備に向けて、どのように取り組んでいくのか、県の所見をお伺いいたします。
東京パラリンピックに係る合宿誘致について
 スポーツ大会を生かした地域振興に関連し、東京パラリンピックに係る合宿誘致についてお尋ねをいたします。
 ロシアのソチで行われていましたオリンピックが先日閉幕いたしました。日本代表を初めとする世界のトップレベルの選手たちによる熱い戦いに日本国中が大いに沸き上がったところであります。眠い目をこすりながら、深夜にテレビにかじりついていた方々もたくさんおられたのではないでしょうか。
 本県ゆかりの選手としては、女子フィギュアスケートの三選手を初め十名が出場され、大きなプレッシャーの中、それぞれの競技の中で輝かしい戦いぶりを見せてくれました。
 選手の皆様の御活躍や、長年にわたる御努力、さらには、選手を支えてこられた御家族や関係者の方々に心から敬意を表するところであります。
 メダルはとれなくても多くの入賞者が出て、演技や競技で十分感動を与えていただきました。改めて、スポーツは人を感動させてくれると実感をさせていただきました。
 また、ソチでは、三月七日から十日間の日程でパラリンピックが開催されます。オリンピックにも負けない熱い戦いが五競技、七十二種目で繰り広げられます。
 本県ゆかりの選手としては、佐藤圭一選手がクロスカントリースキーとバイアスロンに出場されますので、これまでの練習の成果を遺憾なく発揮されて、御活躍いただきたいと願っているところであります。
 二〇二〇年には、東京でもオリンピック、パラリンピックの開催が決定いたしました。安倍総理は、衆議院の予算委員会で、東京オリンピック・パラリンピックについて、「東京の祭典ではなく、日本全体の祭典にしたい。我が国全体が活力を取り戻す弾みにしたい。」との発言をされております。
 また、この大会の開催を東京がかち取ったブエノスアイレスでのIOC総会では、走り幅跳びのパラリンピック選手である佐藤真海さんがスポーツの力を訴え、大きな感動を呼んだところであります。
 本県でも、来週末の九日には、マラソンフェスティバル ナゴヤ・愛知の中で、女子の車椅子マラソン、名古屋ウィメンズホイールチェアマラソンが新たに開催されます。
 ナゴヤドームから瑞穂陸上競技場までの約十・五キロを土田和歌子選手や田中照代選手といったパラリンピックのメダリストなど十名が走り抜けます。
 大勢の観戦者の中、迫力あるレースが披露されることを大いに期待しているところであります。
 こうした障害者のスポーツ大会は、障害のある方の自己実現の目標になるだけではなく、観戦や報道を通じて、社会における障害の理解にもつながるものであります。
 地元の選手がオリンピックやパラリンピックに出場して活躍することは、地域の大きなニュースになりますし、子供たちにとっても、身近にトップアスリートがいるということは、将来、オリンピック・パラリンピック選手を目指そうという子供たちがふえていくと思います。
 こうした意味で、二〇二〇年に開催される東京パラリンピックは、ハンデを乗り越えて世界で活躍するアスリートたちの姿がクローズアップされる絶好の機会であり、オリンピックとは違った感動を日本中に与えるものと思われます。
 競技自体はもちろん東京で行われますが、事前の強化合宿といった形で、本県にもアスリートの方々にお越しいただけないかと考えているところであります。
 しかし、障害を持ったアスリートを大勢受け入れていくためには配慮が必要であります。やはりバリアフリーに対応した競技施設が不可欠です。
 例えば、私の地元である蒲郡市には、竹島埠頭にバリアフリーポンツーン「マンボウ」がございます。これは、車椅子の方でも利用しやすい浮き桟橋です。傾斜を緩やかにしたスロープや滑りにくい舗装、乗りおりに便利なリフターを設置するなど、数々の工夫がなされています。
 こうした障害者に配慮した環境を活用して、本県では、愛知県が蒲郡市に設置したバリアフリーポンツーン「マンボウ」を拠点として、パラリンピックセーリング日本代表チームが強化練習を実施し、二〇〇〇年のシドニー、二〇〇四年のアテネ、二〇一二年のロンドンオリンピックにも出場しています。
 さらに、このバリアフリーポンツーン「マンボウ」では、中国、韓国及びシンガポールとパラリンピックセーリング日本代表チームとの強化合宿を平成十八年度から実施しており、セーリング競技におけるアジア全体の技術向上にも貢献をしております。
 地元自治体の蒲郡市も、競技団体のこのような活動に積極的にかかわっているのも現状であります。
 また、愛知県では、スポーツ大会を通じた地域活性化に向けた展開策等を検討するあいちスポーツ事業振興研究会を開催しているとお聞きしております。この研究会でも、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックについて、愛知県としてどのようにかかわっていけるか、委員から意見をお聞きしたとのことであります。
 日本だけでなく世界各国のチームの強化合宿を誘致できれば、障害に対する理解はもとより、国際交流の推進やマリンスポーツのメッカとして全国、世界に発信することにもつながるのではないでしょうか。
 そこでお尋ねいたします。
 県は、セーリングを初めとする二〇二〇年東京パラリンピックの強化合宿の誘致について、どのように対応していくおつもりかお伺いをいたします。